2013年3月17日日曜日

繭のなかの森



---日本語

英国から帰国してほぼ二週間が経った。はじめの一週間は急性胃腸炎のため寝込んでいた。次の週は、
確定申告と国際学会へ投稿する論文の担当分草稿と各種来年度の職の確保のための申請書と今回の訪問の報告書の提出の締め切りが重なっていて、大騒ぎの週となった。展示の打診があったが、結局まとまりきらずそれは見送った。そのため、英国滞在中お世話になった方々へのお礼のご挨拶ができず、ずるずると日本語生活に浸っていたので、改めて英文を書くとなると、自分なりになにやら儀式が必要な気がしてさらに、お返事が遅くなってしまっている。
--- とりあえず、日本語で書きたいことを書いてみることにした。

半年不在だったので、確定申告はともかく、年金、健康保険、水道、ガス、電気、携帯電話、インターネット、車の保険、車検等請求書が溜まっていて、それだけでもお腹を下しそうな事態だった。特に、電気代が変調を来していて、不在なのにも拘らず料金だけはファーストクラスの待遇であった。

---二週間くらしてみて、どうもこの日本という国は、なにやら真綿で包まれているような、肝腎なことが覆い隠されているような気がしてならない。それは、一言でいうと、日本の賞味期限は切れたということである。たぶん、明治維新後、第二次大戦後、ヨーロッパやアメリカから学んで蓄積してきた先人の知恵と努力の成果は、現代日本人によって浪費し尽くされてしまっているのだと思う。海外から日本に何かを学ぼうとする人々に、何を教えることができるのだろうか。本当に価値のある事物は、表層を恣意的にたどる日本の情報メディアには、幸いにも黙殺されているのだろうか。
 アイルランド人、ウエールズ人、アイランド人、スコットランド人、イングランド人、フランス人、スペイン人、コロンビア人、ブラジル人、スイス人、スロバキア人、バスク人、イラン人、トルコ人、クエート人、サウジアラビア人、インド人、インドネシア人、ナビビア人、ガーナ人、ナイジェリア人、ベトナム人、マレーシア人、シンガポール人、中国人、韓国人、ロシア人、カナダ人、アメリカ人、フィリピン人、オーストラリア人、ニュージーランド人、ドイツ人、オランダ人、ベルギー人、イタリア人… 
 おおよそ日本人だけの日本語だけの社会において、異なる価値観を理解する想像力、一方で、世界の人々が思いつかないような創造的なことを発想できる構想力を養い育てることができるのだろうか。そもそも社会にとっての価値の源泉やなんで生きているのかその意味を現代日本社会に生きていてその日常の生活から汲み取れるのだろうか。自分は何者なのか、何をする人なのか、何をしたいのか、慌ただしい日本現代生活に抗って、その基本の意味を自分に問い続けていくことにする。